【レビュー】映画『パラサイト 半地下の家族』で描かれなかったシーンの個人的考察。
- 2020.02.13
- 日記

先日、『パラサイト 半地下の家族』を観てきました。
しかも、あまりの面白さにすでに2回観ています。
カンヌ国際映画祭の最高賞「パルムドール」の受賞に続き、アカデミー賞4冠の受賞はアジア映画として初の快挙!本当にすごいですね!!!
『パラサイト 半地下の家族』はクスッとするコメディ要素満載の前半からゾッとするサスペンス的な結末を迎える後半まで。テンポのいい進行でアッという間に観終わってしまいました。
このブログは「犬ブログ」ですが、あまりのおもしろさに初の映画レビューを書きたくなってしまうほど。劇中はかわいいワンちゃんも登場しますので、後ほど少し触れていきます。
観終わった感想には好き嫌いが分かれているようですが、私は見れば見るほど引き込まれました。
今回は映画を観た感想と、作品中には描かれていない「あれってどうなったの・・?」と気になったシーンを個人的見解を交えながら振り返ってみたいと思います。
とにかくとってもおすすめしたい映画です!
STORY:『パラサイト 半地下の家族』のあらすじ
半地下の家で全員が失業中という貧しい暮らしを送るキム一家は、数々の事業に失敗した経験を持つ一家の大黒柱の父と、元ハンマー投げのメダリストの母。賢くも大学受験に失敗続きの長男に、美大を目指すが予備校に通うお金が無くてうまくいかない長女の4人家族。
ある日、友人の紹介で高台の豪邸で家庭教師をすることになった長男。
その豪邸にはIT企業の社長である夫と美しく優しい妻。かわいい娘と少々問題を抱える幼い息子が暮らしています。
貧しい一家と裕福な一家。対照的な2つの家族が徐々に関わり合っていく中で驚きの展開が繰り広げられる、笑いあり恐怖ありのサスペンスコメディです。
個人的感想
『パラサイト 半地下の家族』は2回観ています。
「衝撃の展開!」といった前評判を聞いて観にいった1回目の感想は実は、「おもしろかったけど衝撃の展開というほどでは無かったかな〜・・」でした。
期待しすぎていたんだと思います。
ポン・ジュノ監督作品の『母なる証明』がまさに衝撃の連続だったので、『母なる証明』に比べるとわかりやすい内容だったかなと初めは少し物足りなく感じました。
ただ、役者さん達の演技が魅力的でもう一度観たくなり、2回目を観に行くことに。
その前に他の方のレビューを見て復習してみました。
すると、「なるほど!」の隠れた伏線がたくさん。
さすが、ポン・ジュノ監督と脱帽でした。
私の浅い考察ではこの作品の奥深さが見抜けていなかった・・
そうして改めて作品の知識や背景を得てから臨んだ2回目の鑑賞は、結末がわかっていながらも1回目よりも更におもしろく感じました。
『パラサイト』は劇中では描かれない「あれって・・」と気になるシーン(伏線)がいくつかあります。そこで、他の方が解説されているレビューなどから個人的に「なるほど!」と納得したものを、私の拙い考察を織り混ぜて読み解いてみようと思います。
『パラサイト 半地下の家族』(勝手に)考察リスト▼
- 若くて才能ある兄妹がパラサイトせざるを得なかった理由
- ピザの箱折り内職で「4分の1」に表されているある特徴。
- 末っ子ダソンは家庭教師のギジョンになぜ従順になったのか。
- 女子高生ダヘは小悪魔!?家庭教師2人との関係性
- ダソンはすでに気づいてた!?解読した「たすけて」の謎
❶ 若くて才能ある兄妹がパラサイトせざるを得なかった理由
頭が良く賢い兄と絵の才能があって機転のきく妹。才能溢れる若い2人なら寄生せずとも社会で成功できるのでは?と思ってしまいます。
ところが財閥社会である韓国では、例え有名大学を卒業できたとしても、一流企業への就職はコネがない限りなかなか難しいといった実情があるそうです。
生まれが貧しいと才能があっても活かせない。
生まれた環境によって、既に明らかな貧富の差が韓国には存在し、富を得る手段は限られているようです。
確実に韓国で成功するには財閥の家に生まれるか、アイドルなどの芸能の世界で成功するか・・なのでしょうか。

❷ ピザの箱折り内職で「4分の1」に表されているある特徴。
映画の冒頭に家族全員でピザの箱を折る内職シーンがあります。
内職を終えた家族に仕事を依頼したピザ屋の店主が「全体の4分の1は仕上がりが雑で使い物にならない」と注意します。
キム家は4人家族。
おそらくこの4分の1は父ギテクが担当したと思われます(笑)。
確か、みんな父親の方を見ますよね。
優秀な子供たちと何事もそつなつこなす母。
映画の中では父ひとりが計画性の無いちょっと抜けたダメ人間です。
私は1回目に観た時は気づかなかったのですが、ピザ屋の店主があえて「4分の1」という数字を口にしたのは、父親のダメ男っぷりが映画冒頭から伏線(?)として描かれているのかなと思ったので、2回目の時にクスッときました。
❸ 末っ子ダソンは家庭教師のギジョンになぜ従順になったのか。
落ち着きのないパク一家の末っ子ダソンに、半地下の妹ギジョンが絵の家庭教師として紹介されます。問題児だと心配していたダソンの母親をよそに、あっという間にギジョンに従順になったダソン。礼儀正しく落ち着いた子に変貌します。
2人に何があった!?と気になりました。
ところが劇中にはダソンが従順になる行程は描かれていません。
そこで、私が見た「なるほど!」と納得したレビューは以下のとおりです。
ダソンの母ヨンギョは犬をよく抱いていますが、息子を抱く(触れる)シーンがありません。
初めて家庭教師のギジョンを部屋で紹介するシーンでも、お尻におもちゃの矢を挟んでいるダソンに「何しているの」と声をかけていますが、ダソンには触れずにおもちゃの矢を触っているだけでした。
それに引き換え、ギジョンは家庭教師の指導中いつもダソンを膝にのせて抱いています。
恐らくこの「常に抱いてあげる」という行為が、いつも母には触れてもらえないダソンの寂しい心に刺さり、うまく懐柔できたのではないかと思われます。
それにしても、短時間であの丁寧なお辞儀をするまでの従順さ。他に何かあったかも!?と思えなくもない気が・・。

❹ 女子高生ダヘは小悪魔!?家庭教師2人との関係性
友人のミニョクから紹介された家庭教師の仕事ですが、元々はミニョクが留学するための代打でした。ミニョクは生徒であるダヘが大学に合格したら付き合うつもりだとギウに伝えます。
そして家庭教師として採用されたギウですが、ダヘと恋仲になります。
ミニョクとダヘはどんな関係だったの?と気になりました。
ミニョク役は「花郎(ファラン)」などのドラマで主役をつとめたパク・ソジュンさん。(かっこいい♡)
恋の行方がとっても気になります!
ところが、2人がどんな関係だったかは明らかにされていません。
私が最初に考えたのは「小悪魔ダヘ」説です。
ミニョクはギウに「ダヘが大学に合格したら付き合うつもり」と発言しますが、後日ギウも全く同じ台詞を家族に言います。
映画ではギウに比較的積極的にアピールしていたダヘ。
ミニョクにも同じことをしていたのでは?と思いました。
だからこそギウも「大学に合格したら・・」と同じ台詞を言ったのかなと。
でも、2回目を見た後に考えたのは「ギウがミニョクに憧れている」説です。
ミニョクに憧れているギウが同じ台詞を言いたかっただけだったのかなと思いました。
つまり、ダヘとミニョクは特に恋仲といったことはなく、ミニョクの妄想片思い?。
大雨の中、豪邸から半地下の家へ戻る際に階段を下って行きながら、これからどうするかというキム家の家族会議が行われます。その際意見を聞かれたギウが「ミニョクだったらどうするかな」と答えます。
このことからもギウがミニョクを強く意識していることが伺えます。
「大学に合格したら・・」と同じ台詞を言ったのはミニョクへの憧れからということの方がしっくりきそうですね。
そしてギウとダヘの恋の行方は..
クライマックスで入院をするギウの側にダヘの姿はありませんでした。父親を殺され、生活が一変してしまったパク一家。恋心が冷めてしまってもおかしくありません。
恐らくあの事件があった日が最後なのかな・・。

❺ ダソンはすでに気づいてた!?解読した「たすけて」の謎
地下の男の「たすけて」の信号を読み解いたダソンですが、その後の展開はありませんでした。この電灯によるモールス信号、実はギウの面接時にも点滅していましたね。
見逃した方は次の機会に確認してみてください。
そして、この件に関する「なるほど!」のレビューは以下の通りです。
ダソンは地下の男の存在に前々から気づいていたのではないか説です。
元家政婦とダソンは仲良さげで、退職後もメールを交わすほどでした。
なので、もしかしたら何か聞かされていたのかも!?
もしくは、この映画は「臭い」がキーワードとなっていますが、ダソンは誰よりも早く半地下家族の「臭い」に気づいています。そして、時々パク一家の居住区に出てきていた地下の男はもっと強烈な臭いだったはず。
たまに現れていた地下の男の残り香のようなものに気づいていた可能性はないでしょうか。
インディアンに扮するのも護身のためだったりして・・とも考えました。
最初映画を観終わった時は「ダソンのたすけて解読はどうなった??」と気になりましたが、今はその先をあえて描かれていない方が、ダソンの不気味さを感じておもしろいなと思っています。
素晴らしいキャスティング
脚本や映像の素晴らしさもそうですが、とにかくキャストが素晴らしかったと思いました。
有名な俳優さんがたくさん出演されていましたね。
個人的にはどの役も他の人ではダメだと思うほど見事にマッチしていました。
特にパク・ソダムさん演じる妹キム・ギジョンさん。
『ビューティフルマインド〜愛が起こした奇跡〜』『シンデレラと4人の騎士(ナイト)』などのドラマではお見かけしたことがありましたが、今回のスレた感じは別人でした。
大学の卒業証明を偽造するシーンや初めてパク家に訪れた際にインターフォンをならす前の掛け声も好きなシーンです。
あの「掛け声」は元ネタがあるみたいですね。
「独島(竹島)は我が領土」の歌のリズムだそうです。
そうだと知ると日本人にとってはちょっと・・ですね。
半地下住まいのお父さん役ソン・ガンホさん。
ポン・ジュノ監督とダッグを組んだ『殺人の追憶』は有名ですね。実際にあった、当時未解決の連続殺人事件が元になっています。2019年に33年ぶりに犯人が捕まったとういことで話題になった映画ですが、最後のカメラ目線のカットは犯人へのメッセージが込められているとか。ゾクッとする演出だなと思いました。
IT企業の社長パク・ドンイク役のイ・ソンギュンさん
セクシーボイスのソンギュンさん。初めてみたのはドラマ『コーヒープリンス1号店』。個人的には『パスタ〜恋が出来るまで〜』が好きです。
先ほども紹介しましたが、ギウの友人ミニョク役にパク・ソジュンさんが友情出演されています。『梨泰院クラス』で人気ですね!『花郎(ファラン)』や『彼女はキレイだった』などソジュンさんの魅力満載のドラマもおすすめです。
元家政婦役のイ・ジョンウンさん。
ジョンウンさんも過去ポン監督作品に出演されていますね。私が観たのは『母なる証明』。殺された女子高生のお葬式のシーンに登場しています。出演シーンは少ないながら、しっかり覚えていました。演技派の魅力的な女優さんです。
『母なる証明』はポン・ジュノ監督の名作です。
数々の伏線と驚きの展開が続き、予測不能のラスト。映画の始まりがシュールなダンスという変わった演出に、最初は「ん?」と思いましたが、ちゃんと意味がありました。観終わった後にシュールなダンスをまた見たくなります。
かわいい3匹のワンちゃんも登場します!
このブログは「犬ブログ」なので、犬についてもちょっと触れておきたいと思います。
劇中には豪邸のパク家で飼われている3匹のワンちゃんが登場します。ビーグルとプードルともう1匹白いワンちゃん(種類は定かではない)です。
1回目の鑑賞時、私の隣だった女性も恐らく犬好きの方と思われます。犬が登場するたびに一緒に「フフフ♡」と笑っていました。
好きなシーンは、IT企業の社長パク・ドンイクが帰宅した際に、3匹が一緒に階段を登っていく後ろ姿のシーンとプードル犬がベットの下に隠れるギウを潜って見つめつるシーン。
特にプードル犬の子はブランを思い出してほっこりしました。
まとめ
貧困格差という重たいテーマにも関わらず、笑える場面が多くてテンポもいいので、あまり構えずに観ることができました。「半地下の住まいと豪邸」、「階段」、「臭い」などあらゆる方法で格差の対比がうまく表現されていたなーと思います。
ちなみに、半地下の家や街並み、豪邸も映画のためのセットだそうです。驚きですね。半地下の家の風に揺れる窓の埃など、細かいところまでこだわりを感じます。実在の家としか思えないディテールでした。
私は個人的に「あのシーンはどういう意味があったんだろうか」と考えさせられるような映画が好きなんですが、ポン・ジュノ監督作品はまさにそういった場面が多くて大好きです。
これまでポン・ジュノ監督作品では『母なる証明』が一番でしたが、今回『パラサイト 半地下の家族』がその上をいくかもれません。
いや、「母なる証明」か・・。
どっちにしても近々『パラサイト半地下の家族』の3度目の鑑賞にまた足を運んでしまいそうです。
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